今の高3が中3の冬に第1回配本があり、3/10の最終配本で完結する全集がある。それは、池澤夏樹*個人編集「世界文学全集」全30巻、河出書房新社。
編者の池澤夏樹は、1945年生まれの作家。小説の他、詩・翻訳・書評・エッセイも多い。「スティルライフ」で芥川賞、「マシアス・ギリの失脚」で谷崎賞、他受賞作多数。特に「イラクの小さな橋を渡って」「憲法なんて知らないよ―というキミのための「日本の憲法」」は生徒たちもよく手にする。近著に2009年「カデナ」2010年「嵐の夜の読書」。
その池澤氏が個人で世界文学全集を編んだところから、「世界文学」というコンセプトのつかみの質と幅が変わった。作品は20世紀後半から選ばれ、かつ、植民地出身者や女性たちの作品が数多い。それは、第2次世界大戦が終わり、やっと書く自由を手に入れた人たちの作品だ。また、新訳・初訳の占める割合も多い。作品は翻訳される事により「世界文学」となり異言語に訳される事により熟成していく、という認識がある。「翻訳」の価値に充分意識的なのだ。だから、集められた作品は日本語で読んで面白く、新鮮!
各巻の作品とマッチするイラストや写真が使用された幅広の帯、鮮やかな色彩のカバーに包まれた、真にユニークな作品たちの「世界文学」全集が、高校卒業式後完結する。
今、この時、特に高3の人たちへ、「世界文学」全集初発時の池澤氏からのメッセージを改めて伝えたい。
「世界はこんなに広いし、
人間の思いは
こんなに遠くまで
飛翔する。
それを体験してほしい。」
卒業後のみんなへの(私の)想いと重なる。そのための扉がここにある。ADDIO !
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