明治初期、銀座の街並を設計したのがアイルランド人のトーマス・ウォーターズだった。江戸時代以来の区割りを生かし、アイルランドの首都ダブリンに似せた2階建ての建物が並ぶ煉瓦街を1875年に完成させた。しかし、この銀座煉瓦街は大正12年(1923年)の関東大震災で壊滅してしまう。
私は時々むしょうにダブリンへ行きたくなる。日が暮れかかると、ダブリンの街並を「ぶらぶら歩き」をしたくなってしょうがない。それはジェイムス・ジョイスの作品に出合うずっと前からだ。
今、一人のアイルランド出身の若者が脚光を浴びている。マーク・ボイル。彼は、不用品交換で入手したトレーラーハウスに太陽光発電パネルを取り付け、半自給自足生活を営み、フリー・エコノミー(無銭経済)を提唱する。著書『ぼくはお金を使わずに生きることにした』(紀伊国屋書店)。現在「カネナシ村」の立ち上げを準備中。
「カネナシ村」!? …漫画『かむろば村へ』(いがらしみきお、小学館、全4巻)の主人公を思い出す。(笑)彼は、金を使うのがいやで村にきた、失敗ばかりの迷惑な若者である。彼が、行き当たりばったりの経緯で村長選に立候補する。その時のスローガン…「なにも買わない。なにも売らない。ただ生きて行く。」