飯能市郷土館で見逃せない絵画展が開かれている。(~5/8まで)「小島喜八郎 寄贈絵画展」である。
小島喜八郎は、飯能出身。高校を出て直ぐ仕事に就いたが、美術学校や専門の研究所出身という訳ではなく、描く事が好きだからただひたすら描き続け、37歳で絵だけの世界に入り、35年間、…3年前に72歳で亡くなった。
小島の絵は大別して2つの世界がある。一つは、30年近くにわたり描いてきた飯能各地の風景スケッチである。これは、その時々の飯能の日常の姿を伝える貴重な資料ともなっている。もう一つは、画家としての創造的な挑戦を伝える、油彩の大作シリーズである。
幾重にもシワを刻んだ紙の上に人影が行き交う「紙」シリーズ、草の光と影をハイパーリアリズムで画面一杯に描いた「草」シリーズ、風に揺れる草木の姿を描いた「風」シリーズ。今回の絵画展は、この油彩の大作が昨年寄贈された事により実現した。
小島は自らの画集の後書で次のように語っている。「絵を描く事で人生を生きてこられた。能力を傾注し、誠意を尽くしてたくさんの画面を埋めてきた。作品はおしなべて ~事象に寄り添うというか、存在の中に併せ持つ〈異空間〉のようなものを描いてきたような気がする。」
私は、この〈異空間〉に身を横たえるのを好む。
郷土館は、登校のスクールバスが市立図書館を過ぎて少しの所、右側(川とは反対側)の小高い土地の上に在る。