2006年12月、安倍晋三政権は1947年から持続していた教育基本法を廃止して、06年新教育基本法を制定した。文科省は、この新教育基本法に基づいて08年3月に学習指導要領(指導要領)を改訂し、同時に、この指導要領に忠実な教科書作成のために検定制度を変えた。今年度から使用される小学校新教科書は、この新指導要領と新検定制度によってつくられた、はじめての教科書である。
06年教育基本法第2条の「教育の目標」、それを具体化した新指導要領と新検定制度が求めているために、小学校新教科書には、全教科の教科書に道徳・愛国心・公共の精神・伝統文化・奉仕の精神などが盛り込まれている。
一例を挙げる。国語科の教科書に、神話が登場する。新指導要領では、「伝統的な言語文化」を学ばせるとしているために、1・2年生用国語には、4社に「因幡の白ウサギ」が、2社に「ヤマタノオロチ」(天皇の神権を保証した三種の神器の一つ、草薙劒くさなぎのつるぎはヤマタノオロチの尾から出てくる)が登場する。両方を載せた教科書が1社ある。また、6年歴史教科書の神話の扱いでは、全社にヤマトタケルの神話が登場する。中には、神話であることを明記せず「神の子孫が天皇となって、国を統一していくという話があります。ヤマトタケルノミコトの話はその一部です。」と記述しているものまで、ある!
ここでもう一つの日本神話の本を紹介する。『ゆかいな神様シリーズ』全6巻、新日本出版社。この中に登場する神々は、もちろんと言うべきか当然というべきか、王権の正当化という意図で書かれたものではない。(笑)これは、ひとことで言えば、人々と共に笑い、泣き、喜び、力を合わせて生きる事に幸せを見つけていく神々(だから神々ではないかも知れない、笑)の話である。
各巻のタイトルを紹介しよう。「木をうえるスサノオ」「空とぶ太陽の神ヒルコ」「ふじづるのまもり水のタケル」「たたらをふむ女神カナヤゴ」「スクナビコのがまんくらべ」、そしてこれは傑作、「おどって!ウズメ」…
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