思わず見入ってしまう面白い本を寄付された。『ヤモリの指から不思議なテープ』(監修・石田秀輝、文・松田素子/江口絵里、絵・西澤真樹子、アリス館)である。
前書きにこうある。「地球が誕生して約46億年、生命が誕生して約38億年、地球の上で、何億年もの長き時をかけて試され、変化し、工夫されてきたすばらしいしくみが、私たちのすぐそばにある」
その通り、自然の中にはまだ解明されていない不思議なことがたくさんある。その自然のすごさを賢く生かす新しいものづくり=「ネイチャー・テクノロジー」の視点から、本書では16個のテーマがセレクトされている。かわいい~イラストと分かりやすい文章で、面白く「ネイチャー・テクノロジー」を教えてくれるのだ。つまり、生物の知恵を借りると、地球に優しく、かつ画期的なモノができるという、そんな新視点の科学の本。
イラストが文章とうまく結びついていてとっても分かりやすい。まず自然の鳥や昆虫など生物のすごいところを紹介、それから、それが科学的にアプローチされ解明されて、どのように発達していったのかが解説される。TVでもありそうな企画だけれど、本なので自分のテンポで解説やイラストをじっくり眺めることができる。
タイトルにあるヤモリのすごさはもちろん、ハコフグとヘビ、シロアリも負けてはいない(笑)。この本の楽しい魅力の大半はページごとにたくさんたくさん描きこまれたイラストにある。絵=西澤真樹子さん。(←ナノ君の生みの母、笑)
西澤さんは8期生。フリーランスとして博物館の標本整理や制作に関わり、標本制作チーム「なにわホネホネ団」の団長を務めている。著者に『ホネホネたんけんたい』シリーズ(アリス館)等がある。ちなみに、図書館入口横の壁上、照明やエアコンのスイッチの下に展示されている「猫のおしり」「冷ややっこ」「人形焼き」の写真は、彼女の作品である。なぜ、どんなきっかけでそこにあるのか、私はもう思い出せない。(笑)