私の手にする詩集(『詩の樹の下で』長田弘、みすず書房)の帯には FUKUSHIMA REQUIEM とある。作者の長田さんは福島生まれ。今は東京に一人住む。昨年の3月には消化器系の病気を患って入院・その後再入院で大手術を受けた。その長田さんはこう記す。
「ボランティアにも行けない自分は、レクイエム(鎮魂歌)を書くことしかできない。災害後は、生き残った人が生きることに関心の中心が集まっている。だけど自分は死者の霊を慰めることで、生きている人を慰めたい。」

一本一本の木に寄り添う静かな言葉は、亡くなった他者と生きている私を粛然とくるむ。
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