ONE PIECE新刊~で思い出すのは、高校入学式の校長の話。(笑)内田 樹氏のONE PIECE 解釈を上手に引用しながらうまく自由の森の理念に繋げていたと、私は思う。VOICE 19にそのまま掲載されている。(以下、VOICE 19「高校入学式・新入生へ*5」鬼沢真之、より)
(~略)…物語を貫くテーマは「仲間」。この『ONE PIECE』の別冊「ストロングワーズ」に思想家の内田樹氏が解説の文章を書いています。主人公ルフィたちは、自分の利益や時には命よりも仲間との絆を優先します。内田樹さんは、これを現代社会を貫いている「グローバリズム」の流れに対する異議申し立てととらえています。
グローバリズムとは、一言で言ってしまえば、世界を単一の巨大な秩序のうちに整序し、地上の全ての人間を、その経済力によって(平たく言えば「年収いくらか」を基準に)数値的に格付けするシステムのことです。地上の全ての人間が単一の基準によって格付けされる。極端な言い方をすれば、年収によって、地球上の70億の人間が、一番から七十億番までずらりと一枚のリストの上に配列される。(~中略~)権力が欲しいなら、その世界ランキングにおいて、とりあえずは自分のすぐ上にいる人間を追い落として、一段ずつ這い上がるしかない。(~中略~)強いものは豊かな資源を享受し、思う存分自由にふるまい、弱い人間を奴隷のようにこき使うことができる。『ONE PIECE』はそういう世界の話しです。
私は、『ONE PIECE』が子どもだけではなく、むしろ大人たちにも読まれているのは、こういう「一つのモノサシ社会」に対する静かな反発があるからではないかと思うのです。そして、バラバラにされてしまった人と人との関係を改めて信頼と友情のきずなでつなぎ直したいと感じているのだと思います。
自由の森学園が、点数と競争原理によりかからない教育をめざしているのは、学ぶということが本来は人と人とを結びつけるものだと考えているからなのです。ともに学ぶ仲間とつながること、同時に、自分自身を発見し自分自身につながることを何より大切にしているのです。
自由の森の3年間の航海にはあらかじめ決められたコースがありません。目的地もそれぞれです。しかし、これから過ごす時間はみなさんにとって大切なものとなることと思います。学ぶことは仲間とつながること、学ぶことは社会に参加すること、学ぶことは自分自身を発見すること、これを胸に刻んで新しい学校生活を送って下さい。ぜひ、充実した冒険となることを期待しています。…
キミはどう思う?ちなみに、鬼沢氏が引用している「ストロングワーズ」は上巻、下巻も刊行され、同じく内田氏が解説を書いている。こちらも新たな視点や卓見が随所にあり、面白い。ご一読を。
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